不妊治療を開始して4年目に入りました。
たまたまかもしれませんが、私の周りには
私以外で不妊治療をしている人はいません。
結婚&出産ラッシュの波もやってきていて
正直言って孤独の戦いをしています。
どうして私は妊娠できないのか?
なぜ私だけなのか?
ふとそんなことを考えると
1つの疑問を抱きます。
なぜ20代の不妊治療経験者は少ないのか?
今回はこのテーマについて
考えてみようと思います。
20代の不妊治療経験者の数
まずは、20代の不妊治療経験者の
数を見ていきましょう。
以下の資料は
特定不妊治療(=体外受精,顕微授精)の
助成金初回受給件数の年齢別のグラフです。
20代後半から件数は上昇し
39歳まで上がり続けています。
逆に、
~24歳、25歳、26歳は件数が少なく
年間1000件に満たないです。
このグラフを見ると確かに
20代の不妊治療経験者の割合は少ない
と言えると思います。
実感として、
治療に関連した様々な情報を得ようにも
同世代の経験者は圧倒的に少なく、
同じような治療歴の人を見つけるのは
さらに一苦労です。
では、本題の
なぜ20代の不妊治療経験者が少ないのか?
当事者である私が考える理由は
大きく4つあります。
順番に掘り下げていきましょう。
1.晩婚化・晩産化
社会的問題として
晩婚化・晩産化の現状は
すでに周知されていると思います。
次の画像は
平均初婚年齢の推移(棒グラフ)と
第一子、第二子、第三子それぞれの
出産時の母親の年齢の推移(折れ線グラフ)
を表しています。
妻の平均初婚年齢は
1975年(昭和50年)は24.7歳ですが、
1985年(昭和60年)は25.5歳、
2020年(令和2年)は29.4歳と上がっています。
それに伴って第一子出産時の年齢も
1975年(昭和50年)は25.7歳、
1985年(昭和60年)は26.7歳、
2020年(令和2年)は30.7歳と上がっています。
晩婚化によって
第一子出産が遅くなっているため
必然的に不妊治療の開始時期も遅くなり
結果として
20代からの不妊治療経験者の割合は
少ない傾向にあるのではないか
と言えるのではないでしょうか。
2.若さ
20代というのは、あたりまえですが
40代の方と比べると若いです。
ということは
妊娠に必要な機能も若いということです。
次のグラフは、年齢に伴った
妊娠するための力妊孕力)の
変化を表したものです。
グラフの妊孕率にも表れてるように
20代は妊娠に繋がりやすいです。
そのため、
自然妊娠の確率が高いのはもちろんのこと
仮に不妊治療に挑戦しても
人工授精や1、2回の体外受精で
結果が出る確率が高いと言われています。
中には、私のように
何回も採卵、移植を繰り返しても
妊娠に至らない人もいますが
多くはすぐに結果が出るため
何年も何年も不妊に悩み、苦しむ同世代は
結果的に少なくなると言えます。
3.時間の余裕
3つ目の理由は「時間の余裕」です。
以下のグラフは2017年に不妊治療をした人の
妊娠率、生産率、流産率を表したものです。
20代の妊娠率や生産率は高く
年齢が高くなるほど数値は下がっていきます。
一方で流産率は年齢が高くなるほど
数値が上がっていきます。
ということは
年齢が高くなればなるほど
妊娠率が低く、妊孕力も低く(前のグラフ参照)
【妊娠できるタイムリミット】が
迫っている状況だといえます。
一方で20代は病的要因がない限り
【妊娠できるタイムリミット】がまだまだ先で
時間に余裕があるのは事実と言えます。
「婦人科に通院する?しない?」
「いつから体外受精をするか?」
といったタイミングでも
時間の余裕があることで
「まだ若いし、もう少し様子を見よう」
「3年くらいは子どもは自然に任せよう」
などの考え方が生まれやすく
結果的に
不妊治療の開始が遅くなっていく
=20代の経験者は少ない
状況になるのではないかと思います。
また、
すでに不妊治療を開始している場合でも
この【時間的な余裕】が
治療のスケジュールに
影響することがあります。
不妊治療は辛く苦しいことが多いです。
ときどき治療をお休みして、
精神的な苦痛から自分を解放する必要
が出てくる場合があります。
そうなった時にも
20代は時間的な余裕があることで
気軽にお休み期間を設けることができます。
私も不妊治療を開始して4年ほど経ちましたが
この4年間ずっと
治療をし続けてきたわけではありません。
精神的に辛くなったら、時々休んで
また前向きに治療に向き合えるようになったら
もう一度挑戦するという事をやっているので
治療期間だけ見ると
トータル3年ほどになってしまいます。
自分の気持ちを尊重して
治療に向き合っていけるのも
【時間の余裕】があるためと言えます。
4.金銭的な負担
4つめは「金銭的な負担」です。
賃金は上がらない、物価は上がっている現代で
特に、社会人になって間もない20代では
貯金額や収入額が少ない状態です。
また、
決して贅沢をしているわけではなくても
社会が豊かになっていることで
スマホ、通信費などの必要品が増え
それを維持するための経費がかかります。
今の生活を維持するのに
給料の多くが持っていかれるため
不妊治療という何万、何十万とかかる治療を
並行してやり続けるというのは
正直厳しいところがあります。
不妊治療の三大負担といえば
精神的負担、肉体的負担、経済的負担
という話を聞いたことがありますが
この中でも特に経済的負担は
若年者ほど直面しやすい人が多いと言えます。
そのため
「治療をしたくても続けられない」
「体外受精をしたいけれどお金が無くてできない」
といった方もいると思います。
とはいえ、
2022年4月から施行された
不妊治療の保険適用によって
金銭的負担の軽減がなされたり
体外受精にも挑戦できる夫婦が
以前より増えたかもしれません。
しかし、2023年現在
保険適用で受けられる不妊治療は
治療法や使用できる薬の範囲が限られているので
結局のところ
その人の体質に合った有効的な治療をするために
自費診療でしか治療ができない場合や
保険適用内で治療しても結果に繋がらない
という場合も大いにあり
多額の費用がかかる現状は
あまり変わっていないのかもしれません。
保険適用の回数も限られており
不妊治療の支援としては
まだまだ足りていないのが本音です。
とはいえ、2022年の改正で
不妊治療に支援の手が
差し伸べられたということだけでも
不妊治療中の者としてはありがたいのは確かです。
世界を見るとスウェーデンでは
国が不妊治療費を3回まで
全額負担してくれるようなので
昨今ニュースで取り上げられている
「異次元の少子化対策」として
不妊治療の公費負担増額も
視野に入れていただけると
個人的にはありがたいと思っています。
まとめ
以上挙げた4点
「晩婚化・晩産化」
「若さ」
「時間的余裕」
「金銭的な負担」
は複合的に状況が絡み合っており
結果的に不妊治療を経験する20代が
少ない要因になっていると言えます。
先程も触れましたが
20代で不妊治療を始めて
様々な情報を得ようにも
経験者が圧倒的に少なく
同じような年齢で
かつ同じような治療歴の人を
見つけるのは一苦労です。
若いなりの苦悩や不安があります。
そういったことを共有する同士や
参考にする媒体が少ないのは
不妊治療をしていく上で
悩みや孤独を感じる要因になります。
このブログを通して
主に20代の治療経験者に向けた
有益な情報を発信出来たらと思っています。
※あくまで個人の見解です。
体験・経験をもとに作成しています。
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